概要

実はエロゲーはUSBメモリ版が発売されていることをご存じだろうか？

2006年に工画堂スタジオから「Dear Pianissimo(ディア ピアニッシモ)」のフィギュアにゲームが内蔵されているUSBメモリ版が発売され、2011年にはねこねこソフトから「Ｗｈｉｔｅ ちょこっとファンディスク」のUSBメモリ版が公式通販で販売。

2012年9月にCIRCUS(サーカス)から発売された「D.C.III DASH ～ダ・カーポIII Ver.1.3 ～ USBメモリ版」。

2013年6月にNitroplusから発売された「君と彼女と彼女の恋。」の初回限定版としてUSBメモリ版が発売された。

エロゲーがCD-ROMからDVD-ROMに移行して随分時間が経っており、今ではBlu-ray Disc(BD)が徐々にとはいえ普及してきている。

当然、エロゲーのディスクも移行していくのかと思いきや、DVD-ROM形式での販売が続けられている。

サポートのし易さ、対応PCの多さを考えれば当然だろう。

最近ではディスクドライブの無いPCも増えてきており、この場合は、ダウンロード版を購入するか、外付けのディスクドライブを使用する必要がある。

外付けのBDドライブも安く販売されているが、BDを再生するには専用の再生ソフトが必要になる。

これが結構な手間で、エロゲが問題無く動くような少し古いPCでもBD専用再生ソフトの動作は重く、そのBD専用再生ソフトも有料なのがほとんどだ。一応、無料ソフトも出回っているが微妙なものが多いのが現状。

となると、次の移行先としてUSBメモリが上がるのも納得だ。では、どのようなメリットがあるのだろうか？

メリット

まず、第一にUSBメモリ版のメリットとして、中古を取り扱う店舗が買い取るには状態の判断が厳しいため中古対策になる。

メーカー側としては悪くない方法だろう。

間違えてデータを削除する心配がないのもメリットだ。セーブデータをUSBメモリに保存すれば、どのPCからでも続きからプレイできる。

持ち運ぶ必要性があるかはともかく。デザイン面でも凝れるので、ファンアイテムとしても良いだろう。

従来のエロゲーのパッケージと比べて小さいので、店舗やユーザーも小スペースで置けるのも魅力的だ。

デメリット

では、メリットばかりなのかというとそうでもない。

一番の問題として製造コストの問題が上がる。
DVD-ROMであれば100円から製造できるのに対し、USBメモリは500円以上掛かるようだ。

更に物理的な分解を不可にして、認証キーを内蔵させるとエロゲー1本分程度の製造コストが掛かる。

これはメーカーにとって見過ごせない問題だ。

USBメモリで販売すると見た目がコンパクトになる分、パッケージが店頭で目立たなくなる。

店頭ではダミーパッケージで解決できるが、所有欲を満たしたい一部のユーザーはそのパッケージの小ささから不満に感じる人も出てくるだろう。

USBメモリの抜き差しの頻度が高いとコネクタが摩耗し、認識できなくなる可能性がある。
半導体の書換寿命も高くはないので、突然使用できなくなる可能性もある。

そして、中古での取り扱いが難しいということは、店舗側としては新品仕入れの資金調達ができないということなので次回作を仕入れてくれる可能性が低くなる。

メーカー側としてもそれは避けたいところだ。

まとめ

このようにメリットよりもデメリットの方が厳しい理由により、メーカーがUSBメモリ販売に踏み切れない理由になっている。

ディスクドライブが搭載されていないPCの場合は、外付けDVDドライブを採用するのが無難なようだ。

ディスク形式が主流になっている理由として、DL版も同人ソフトに比べると商業ソフトの売上げは低いようで、特典が付くパッケージ版の方がユーザー人気は高い。

だが、上記のようなデメリットがあると知っていながらもメーカーの挑戦する姿勢は称賛したい。

DVD-ROMが終了した時、エロゲ業界は次にどういう形式で販売していくのか。BDを採用するのか、新たな販売形式でいくのかを考える時期は確実に近付いている。

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