概要

2015年3月17日17時、任天堂とDeNA（ディー・エヌ・エー）は業務・資本提携に関する共同記者会見を開催した。

会場の模様はインターネット配信もされた。

今回の発表で、任天堂はグローバル市場を対象としたスマートデバイス向けゲームアプリの共同開発、運営及び多様なデバイスに対応した会員制サービスの共同開発に関する業務・資本提携について合意した旨を発表。

具体的には、任天堂IPを活用したスマートデバイス向けゲームアプリを、スマートデバイスのプレイスタイルに適した形で新規に開発・運営することで、より多くのユーザーに任天堂IPに触れる機会を創出することを目的としている。

両社は任天堂のゲーム専用機だけでなく、PC、スマートフォン、タブレットなどの多様なデバイスに対応した新たな基幹システムを構築し、会員制サービスを、平成27年秋の開始を目指して共同開発を行うと発表。

任天堂株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー 業務・資本提携 共同記者発表会

任天堂株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー 業務・資本提携 共同記者発表会（テキスト）

ゲーム専用機プラットフォーム”NX”

今回の発表で、任天堂は新たなゲーム専用機プラットフォーム”NX”の開発を公表した。

任天堂取締役社長の岩田聡氏は、「スマートデバイスでのゲームビジネス展開は、ゲーム専用機ビジネスを悲観したものではなく、 任天堂コンテンツを認知してもらうきっかけを作るため」と語り、「ゲーム専用機ビジネスに対する情熱を持ち続けていることへの証明」としている。

詳細は来年、2016年に発表するとした。

また、”NX”の中核要素の1つとして、現行のニンテンドー3DS、Wii U、スマートデバイス、PC、そして”NX”をつなぐ一体型メンバーサービスをDeNAと共同開発し、運営していく。

任天堂のポイント会員サービス「クラブニンテンドー」は2015年9月30日で終了し、今回の任天堂とDeNAによる会員サービスがクラブニンテンドーに代わる新しい会員サービスになると発表した。

提携までの経緯

会見では今回の提携に至るまでの経緯も紹介され、2010年6月頃に岩田氏は、DeNA代表取締役社長兼CEO 守安 功氏に、「モバゲーに任天堂IPを供給してもらえないか」という提案を受けていた。

その後、継続して話し合いを続け、今回の提携に繋がったと紹介した。

岩田氏は近年、スマートデバイスの普及によってゲーム専用機ビジネスへの悲観的な意見が増えたと述べている。

スマートデバイスの登場以降、デジタル音楽プレイヤーやデジタルカメラといった専用デバイスがスマートデバイスに飲み込まれ、ゲーム専用機も同じ道を辿るのではないか？という意見が増えていることに触れた。

スマートデバイスが普及したことで、ゲーム専用機のハード普及が難しくなったというのは事実だが、ハード・ソフト一体型のビジネスモデル自体は機能しており、ソフトの販売は順調であると岩田氏は語る。

2014年後半には、ニンテンドー3DS向けソフトが国内ダブルミリオンを6ヶ月で5タイトル（サードパーティー製含む）が達成した例を挙げ、日本の家庭用ゲーム機市場はまだまだ勢いがあると語った。

しかし、環境が変わっていくなかで任天堂のタイトルに触れる人を増すにはどうすればいいのか。

そこで、任天堂IPの価値を強化していく戦略の1つとしてスマートデバイスに向けて事業展開をして行く方針を立てた。

DeNAはモバイルゲームをはじめとしたインターネットサービスの分野において、世界トップクラスのノウハウを蓄積しており、両社の強みを活かした新たな事業展開ができると考え、業務提携を行うことに合意した。

まとめ

今回の提携により、任天堂は多くのユーザーが任天堂IPに触れる機会が増え、DeNA は任天堂IPを活用することで、モバイルゲーム事業を強化できるとしている。

開発コード”NX”がどんなプラットフォームになるのか分からないが、詳細は来年発表とするとして、早くても2年後の発売になるだろう。

DeNAとの提携は、あくまで事業展開のひとつとして考えられ、今後もニンテンドー3DSとWii Uのサービスは継続していくものと思われる。

“NX”も気なるが、秋開始予定の新たな会員サービスがどのように任天堂ハードと連携するのかも気になるところだ。

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